私のジブリ・ノート

私が初めてジブリ作品を見たのは2010年。最初の2週間で宮崎作品を全て見た。何かが爆発した

プロレス雑誌『Kaminoge』でジブリの鈴木プロデューサーがヤンチャな悪がきの顔を見せた

KAMINOGE vol.25

 

『Kaminoge』vol25、鈴木敏夫インタビュー。先ず表紙が笑う。鈴木さんが弟子の川上さん(ドワンゴ会長)に眼を剥いて噛みつこうとしているポーズ。何事かと思ったら、そこはさすがプロレス雑誌、往年の悪役レスラー、フレッド・ブラッシーの噛みつき攻撃の真似をしろと言う注文だったのだ。(笑)このレスラー、私などはよく知っているのだが、私より6歳年下の川上さんは全然知らないそうで、生き生きとプロレスの話をする鈴木さんに全然ついていけてないのが可笑しかった。

 

最近は老練なプロデューサーという感がある鈴木さんだが、相手がプロレス雑誌のせいか、話の内容も語り口もなんというかヤンチャな悪ガキという感じで、この人のある本質が図らずも出ていると思った。川上さんも「始末に負えんなこのオヤジ」という感じの対応で笑う。

 

宮崎作品の分析でも、インタビュアーの井上崇宏さん(この人が後に出てくる長州力のインタビューではずっと「山本君!」と呼ばれているのが可笑しい。長州さんは人の名前を憶えないようだ。)が「作品に変態性が現れてますよね、マザコンとロリコンと触感とかエロさがダイレクトで」と水を向けると、『風立ちぬ』はスケベな映画だとか、『千と千尋』は江戸川乱歩のいたいけな少女のいびりとおんなじだとか、『耳をすませば』では爺さんがちゃっかり恋人の代わりになって鍋焼きうどんをすすってるとか、もう言いたい放題。

 

プロデューサー業として何をやるかということで、ビジネスパートナーに苦手なことをやらせることによって今までになかった魅力を引き出す、という話を山田太一高倉健鶴田浩二にやらせた例を引いて、嫌がる宮崎監督に『風立ちぬ』をつくらせた話もなんだかにやにやしながら読んだ。

 

しかしそれにしても『風立ちぬ』は興行収入120億で赤字だというのは凄い。ということは、『かぐや姫の物語』での赤字を考えると、今年のスタジオジブリの決算はどういうことになるんだろうか?

 

しかしそんなことには全然動じていない鈴木さんと川上さんがまたおかしかった。彼らにとって映画をつくること自体が目的なので、また次の作品を作れるだけのものが出来ればいい、ということなのだろう。今週末も『風の谷のナウシカ』を金曜ロードショーでやるようだし(通算16回目)、そうやってビデオの売り上げや放送権料で元を回収して行けるから成り立っているということなんだろうな。豪快で繊細な商売だ。