私のジブリ・ノート

私が初めてジブリ作品を見たのは2010年。最初の2週間で宮崎作品を全て見た。何かが爆発した

『ジブリの教科書3 となりのトトロ』を読んだ。

ジブリの教科書3 となりのトトロ (文春ジブリ文庫)

 

文春文庫から、『ジブリの教科書』のシリーズが出ている。風の谷のナウシカ天空の城ラピュタに続いて昨年の7月には『となりのトトロ』が出た。2014年1月現在、第4集の『火垂るの墓』まで出ている。今日はこの本について書きたい。

 

ジブリの教科書3 となりのトトロ』はかなり読み応えがあって、どんどん読んでしまった。自分の集中度でいえば2の『天空の城ラピュタ』の比ではなく、1の『風の谷のナウシカ』さえはるかに超える。

 

この本は自然描写についての記述がものすごく多いのだけど、どれだけの手を尽くして自然が描写されているのかということを克明に書いていて、そこにものすごく引きこまれる。

 

それは自分の身体の中に入っている自然と呼応して、そう、これだよ、これなんだ、と言っている感じがものすごく強い。

 

この『となりのトトロ』における描写がその後のジブリ作品の自然描写の嚆矢になって、その後のジブリの自然描写の巧みさがどんどん神技の域に入って行く。そしてその時できなかったことが、たとえば『耳をすませば』や『もののけ姫』で実現して行くのだなあということを思わされる。トトロはすごい一歩ではあるけれども、やはり「最初の一歩」なのだ。

 

それは宮崎作品だけでなく、高畑作品でも『おもひでぽろぽろ』や『平成狸合戦ぽんぽこ』の自然描写につながっていく。今日高畑勲のインタビューを書店で読んでいて分かったのだが、人的に言えばこれは男鹿和雄の仕事と言える面が大きいようだ。

トトロはその第一歩をしるした記念碑的な作品なのだ。

 

そして驚くのは、ナウシカラピュタとSFっぽい作品が続いたあとにいきなりトトロという企画を実現させたこと。しかも『火垂るの墓』と二本立てで。やはり企画に無理があったのか休み中の公開でなかったために興行収入は上がらなかったようだ。しかしキャラクターグッズは爆発的に売れ、今でもスタジオジブリの収入の柱の一つになり、またジブリを象徴するキャラクターとしてあちこちに登場するのは周知のことだ。

 

この本をきちんと読んでいくと、この場面はどの色とどの色を使って、みたいなすごい具体的な記述もある。きっと後に続くアニメーターやその卵たちにとっても、本当に『ジブリの教科書』なんだなと思ったのだった。