私のジブリ・ノート

私が初めてジブリ作品を見たのは2010年。最初の2週間で宮崎作品を全て見た。何かが爆発した

鈴木敏夫『映画道楽』

映画道楽 (角川文庫)

スタジオジブリの鈴木プロデューサーの新刊、鈴木敏夫『映画道楽』(角川文庫、2012)を買った。これは2005年にぴあから発売されていたものの文庫化だとのこと。読みやすいし、いろいろと面白い。鈴木氏の本はどれも面白いので出てるとすぐ買ってしまうのだけど、どこが面白かったということが書きにくい本が多くて、全体的に面白いとしか言いようがない感じがする。

 

その中でこれが印象に残ったと言えるのが、昭和40年代の映画の宣伝コピー。たとえば『座頭市海を渡る』で「市が斬られた!しかも相手はか弱い娘!今度ばかりは勝手が違う!抜き差しならぬ仕込杖!」であるとか、『座頭市鉄火旅』の「もうひとり斬れば刀が折れる!むらがる敵は三十人!いつ抜く、どう斬る座頭市!」であるとか、『眠り狂四郎無頼剣』の「あいつは俺の影なのだ!流派も同じ、腕なら互角!同時に回る円月殺法!斬れば斬られる狂四郎の危機!」というようなもの。何かすごいという印象だけなのだけど。(笑)

 

またこれは高畑勲の分析として紹介されているのだが、ハリウッドではある時期まで映画のテーマはすべてLOVEだった、それがある時期から哲学に、それを分かりやすく言うと「生きる」というテーマになった、というのはなるほどと思った。

 

随所にあるこういう具体例の紹介や、本質的な傾向の分析などに、いろいろ触発されることが多く、いつも面白いなと思う。