私のジブリ・ノート

私が初めてジブリ作品を見たのは2010年。最初の2週間で宮崎作品を全て見た。何かが爆発した

『猫の恩返し』を見た。実は好きな作品なのだ。

猫の恩返し / ギブリーズ episode2 [DVD]

 

2010年、スタジオジブリ作品を集中的に見ていた時期に、森田宏幸監督作品『猫の恩返し』を見た。

 

この作品はスタジオジブリの作品としてはそんなに評価も高くないし、また動員もそれほどではないのだけど、私は割と好きな作品だ。私はもともと、こういう理屈抜きののんびりした映画が好きなんだなあと思う。

 

この作品は、『耳をすませば』と同じ柊あおい原作のマンガが元になっていて、『耳をすませば』の主人公、月島雫が描いた物語、という体裁をとっている。『耳すま』のスピンオフと言うことになる。

 

耳すま』は近藤喜文監督作品だったが、脚本・絵コンテは宮崎駿が描いている。この『猫の恩返し』は宮崎のリクエストによって柊が書き下ろした『バロン 猫の男爵』が原作になっているのだが、宮崎自身はスタッフに名を連ねていない。

 

このときは高畑勲監督の『おもひでぽろぽろ』と二つ借りてきてみたのだけど、『猫の恩返し』の方が気に入った。

 

主人公の春が猫になるところがかわいいし、「猫になってもいいかなあ」と思いかけたり、猫のバロンを好きになったりするのもなんだか胸キュンでよかった。

 

少女のたわいない物語妄想と言ってしまえばそれまでのような気もするが、ワンシーンワンシーンが気がきいてる。

 

主人公のハルがふわふわした性格なのが個人的には好きだった。

 

メイキングの画像が特典についていて、丹波哲郎がアフレコで「勝負だにゃあ!」などと叫んでいるのを見て大ウケした。

 

猫の恩返し』はなんかすっきりした作品だし、楽しんでつくっている感じがして、好きだなと思う。こういう肩の力が抜けた作品は見ていていい。主人公が簡単に猫になってしまったりするところが可笑しくてしょうがない。

 

風になる

主題歌がつじあやのの『風になる』なのだが、これもまたすごく好きな曲だ。車に乗っているとき、カーステレオからこの曲が流れると何とものんびりした気分になる。

 

この作品は、原作も読んだ。

 

バロン―猫の男爵 (Animage comics special)

 

はあはあ、こういう絵の人か、と思った。これを読むと、『猫の恩返し』はかなり原作に忠実につくられているということがわかる。細かいところや、世界設定に違いはあるけど、絵柄は違うのに不思議なくらい雰囲気が同じだ。それは、主人公以外の猫たちのキャラクターがほぼ踏襲されているからだろう。読んでいてほとんど違和感がないのがいいなと思った。

 

逆に言えば、『魔女の宅急便』などに比べると、作家性が弱いということになるのかもしれない。森田監督は『かぐや姫の物語』でも原画で参加しているようだが、自分の名を冠した作品を作るということにあまりこだわりのない人なのかもしれないと思った。そういうところからこののんびりさが生まれてきているのかもしれない。

 

実はそういうことはそれはそれで貴重なことなのかもしれないな、と思った。