私がスタジオジブリの作品を観た方がいいと思ったきっかけ
2008年のことになるけど、『崖の上のポニョ』が公開された後、NHKの『プロフェッショナル』で宮崎駿が取り上げられていた。それまで私はスタジオジブリの映画は一度も見てなかったのだけど、宮崎駿という人に興味が出てきていて、本放送は見たのに再放送もまた見てしまった。
本放送で見た時は人間としての面白さに気が引かれてしまったのだけど、再放送で見た時はクリエーターとしての彼の鬼気迫る有様がびんびん入ってきた。
本放送はごはんを食べながら母と見ていたのだけど、再放送は一人で考えながらじっくり見ていたので、こういうものも見る環境が大事なんだなと思った。
みていて思ったのは、宮崎は、圧倒的な霊媒体質だということだ。
クリエーターというのは、というかどんな人間でも多少はあるのだけど、特にそういう部分がある。普通はそれを働かせないようにしているのだけれども、友人が亡くなったときとか制作に没頭しているときのような「日常性の破れ」の局面では、宮崎の行動はそういう何か「降りてくるもの」に突き動かされている。
ストーリーは決まっているのに、「場面」が決まらない。その「場面」が降りてくるまで、最後まで粘る宮崎の様子は鬼気迫る、という言葉がそのまま当てはまる。
そしてその間に彼がした経験は、ものすごく濃密なのもとてもよく伝わってきて心の底からすごいと思った。
そんなことがあって、そろそろ私も、彼の作品を見てもいい時期になったんじゃないかと思ったのだった。実際には、『もののけ姫』で初めて彼の作品を見るのは、この2年後になったのだけど。